29 新宮城跡 (丹鶴城公園)

和歌山県の東端の新宮市。
熊野川を挟んで向こう側は三重県となる。

新宮城は関ヶ原合戦(慶長5(1600)年)後、新宮領を与えられた浅野忠吉が築いた城である。

数台分の無料駐車場有
丹鶴城公園駐車場

小城かと思い油断していたが、戦国末期にできた城であり、実戦と経済性を兼ね備えた近世城郭であった。

排水機能もしっかりある
新宮城跡 排水機能

大坂の役で豊臣氏が滅ぶと、御三家と呼ばれるようになる紀州徳川頼宜の領地となり、付家老の水野重仲が入り、寛永10(1633)年、新宮城は完成した。

新宮城跡 石垣

石垣もなかなか見事なものである。

新宮城跡 本丸へ

水の手はこの城の重要な施設であった。
熊野川岸の水の手には、船着場と流域で生産される備長炭を収納する納屋があったという。

新宮城跡 水の手

炭納屋には一万俵も収納できたという。
熊野木炭の年間生産量は十万俵といわれ、江戸の木炭相場に大きな影響力を持っていたという。

新宮藩は公称35000石と小大名だが、実態は鯨油や木材の販売で10万石を超えていたとされる。
例えば鹿児島藩は平均72万石あり、江戸期の石高ランキング第2位だが、500万両の膨大な借金があり貧困であった。

江戸期はどの藩もおおよそ貧困であったが、新宮藩は裕福であったらしく、「熊野の炭屋」などと揶揄されてもいたらしい。
要するに新宮藩には特産品を上手に売りさばく商才があったのだ。

また、熊野三山貸付という、日本一の金融機関も相当な利益をもたらしていたようだ。


本丸の桝形虎口は城郭の完成形と言うべきクオリティで、近世城郭のお手本のような美しさ。

新宮城跡 本丸桝形虎口

模擬井戸

新宮城跡 井戸

実用性があったw

新宮城跡 現代風アレンジ

本丸から熊野川を眺めてみる。
上流から絶え間なく送られてくる炭、誇らしげに船着場から出航してゆく船を、お殿様はさぞ満足気に眺めたことだろう。

新宮城跡 本丸からの眺望

出丸は本丸からひょっこりと水の手に向かい顔を出している。
熊野川流域と三重方向を監視していたのだろう。

新宮城跡 出丸

搦め手。
非常のときは海へ逃げる構造なのかもしれない。

新宮城跡 搦手

丹鶴姫之碑

新宮城跡 丹鶴姫之碑

丹鶴姫には、伝説と実話がある。
丹鶴城(新宮城の別名)のお姫様、丹鶴(たんかく)姫は、子供好きで、夕方に付近で遊ぶ子供がいると緋色の袴姿で現れ子供を扇で招くという。その子供は翌朝死んでいる。
姫の使いに黒兎がおり、その兎を目撃しても、また死んでしまうという。
新宮出身の作家、佐藤春夫の著書で触れられており、自身も幼少時その話を聞き恐れたようだ。
これが丹鶴姫のもののけ姫伝説。

新宮城跡 天守閣跡から新宮一望

丹鶴姫の父親は源為義である。
為義のお爺ちゃんがあの「八幡太郎」義家で、お孫さんが源頼朝や義経である。
丹鶴姫は父・為義が検非違使として熊野御幸に随行した際、熊野別当の娘を見初め、一女一男を産ませる。
女児が丹鶴姫で、男児が後の新宮十郎行家となる。
丹鶴姫はパワフルなお姫様だったようで、平氏寄りだった熊野の勢力、特に熊野水軍を源氏方に引き込み、鎌倉幕府樹立に貢献した。
一方、弟の行家は武家政権樹立の功労者として頼朝、木曽義仲に次いで武功第三と讃えられたが、義経挙兵に共鳴し、頼朝に滅ぼされる運命をたどった。
無念の丹鶴姫が怨霊化し「もののけ姫」として伝承される一つの理由かもしれない。

新宮城跡 崩れた石垣

尚、新宮行家を祖とする戦国武将・新宮行朝は関ヶ原で西軍に属し敗北。所領を失う。
大坂の役では豊臣方に属し、奮戦するも敗北。その後、津藩主・藤堂高虎に仕えたという。

新宮城跡 鐘の丸の池

丘陵に建つ新宮城には、本丸、松の丸、鐘の丸、出丸がある。

新宮城跡 鐘の丸虎口

城下には二の丸があり、主に武家屋敷や行政機関が置かれていた。
大手道は入口が民家に塞がれているが、公園の入口を歩くと、途中で元の大手道につながる。

新宮城跡 大手道

二の丸お堀があったかもしれないあたりから主郭を眺めると、結構高い位置にあることがわかる。

新宮城跡 外から

新宮城、別名・丹鶴城、沖見城、現在・丹鶴城公園は、戦国時代の戦闘的な空気が微かに残り、泰平時代の港城下町の空気が生き生きと伝わってくる名城であった。

国史跡、和歌山県朝日夕陽百選。

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