塩屋崎・小名浜 被災地へ・・・ ~研修会任務外報告~

 2012年6月10日(日)

 2日間の研修の最終目的地は東日本大震災の津波被災地、小名浜だった。
 高速道路を下りて、しばらくはどこからが津波の被害にあったかわからなくて、もう大分元に戻ったのかな?と何人かが話していた。
 時々道路が大きく上下して、バスが上下に揺さぶられる。この時に股間がヒュンとなることを

「チンサム」

 と言うらしい。ちんこ寒いと言う意味だという。。。
 高速もだったが、所々道路の災害復旧工事が行われていた。例のチンサムゾーンも、震災の爪痕だったのだ。

 しばらく下道を走り、田んぼの風景が続く。津波は塩害も引き起こしており、田んぼも甚大被害にあっている。このあたりは、無事だったのだろう。
 山の方に向って走っていくと、運転手さんが「この先から津波が来た所だよ」と教えてくれた。
 山を越えると、向こう側に海が見えた。最初、空なのか海なのかわからなかった。最初に見えたのは空だった。そのあとに見えたのが、太平洋だ。
 
 耕作放棄地なのか、津波の塩害なのか、田んぼは雑草がボーボーだった。
 そして、目に飛び込んできた。

 下の方だけ破壊され、「家」という機能を失った家。
 土台だけ残し更地になった「家」
 
 海まではもう少し距離があるのに、こんな所まで波が来たのか・・・
 バスは海沿いに出る。左手は海。右手はかつて集落があった場所。

 白い。
 と思った。
 津波のあと、いわゆるガレキは撤去され、道路は舗装され、家々の白いコンクリートの土台だけが残った。だから白の印象が強かったのだ。
 所々、コンクリートの壁に絵が描かれていた。明るい、色々な色で彩られた壁。花とか、そういう絵が多かった。
 集落の住人だろうか、玄関があった場所だろうか、家族だろうか、人が何人か立っている。そういう風景がぽつんぽつんとあった。
 
 学校の校舎の先に、ガレキの山があった。凄まじい量だ。広場いっぱいに台形に積まれてあった。
 広場は、学校の校庭だったのだ。ダメになったプールだけが見えた。

 俺は、研修会の写真係だったけど、撮らなかった。撮ってって言われたけど、そんな気になれるかよ。
 俺のカメラは、楽しい思い出とか、嬉しいこととかを沢山残したいなって思って買ったんだ。旅行の思い出、仲間の結婚式の思い出、痛いBBQ合コンの思い出、デートの思い出、共に働く同僚との思い出。そういう日々の思い出を沢山残したくて買ったんだ。
 白いコンクリの土台は人の家だ。人の家なんて普通撮らないだろ。子供達が遊んでない校庭なんて、普通撮らないだろ。

 遊び半分、物見遊山で来た訳じゃもちろんない。撮っておいて、誰かに見せて状況を知ってもらったほうがいいのかもしれないけど、そんな気にはなれなかった。ブログに載せるなんてもっての他だ。プロの写真家や、報道関係の人が震災を伝えるために撮るのはいい。だが、俺はズブのシロウトな上、崇高な目的のあるブログでもないから、載せる気になんかとてもなれない。


 薄磯海岸に寄せる波は高かった。
 もともと波の高い地域なのか、温帯低気圧の影響か、とにかく高波だった。

薄磯海岸

 灯台の写真を撮っていて、違和感があった。後から気がついたけど、灯台の下の海岸のコンクリートの広場には本当は漁業の船とか、積載物とか、そういうものが置かれていたのかもしれない。海岸のトイレは津波の被害でか、壊れていて使えないので、簡易トイレが置かれていた。

塩屋崎灯台

 灯台の下には美空ひばりにまつわる石碑が置かれていた。塩屋崎をテーマにした「みだれ髪」を歌ったという。確かに髪も乱れる強風が吹いている。石碑の近辺は助かった場所みたいだ。

みだれ髪碑と塩屋崎灯台

 堤防の柵は折れてひしゃげていた。

薄磯海岸の堤防
 
 灯台をあとにし、小名浜の方に向かう。
 いわき七浜料理「まるかつ」で昼食をとった。

いわき七浜料理 まるかつ

 お店は外観がきれいだったから、ここには波は来ていないのかな?と思っていたが、店に入ると、158cmの俺の身長より少し低いぐらいの所に、ここまで波が来ましたと張り紙があった。

まるかつにも津波が

 お昼は刺身定食。
 ご飯を食べながらお店の人が写真の画像付きで津波が来た当時の状況を語ってくれた。

まるかつの刺身定食

 確かに、テレビの映像で見たことのある場所だった。津波の最中の方が町のイメージが強いなんて皮肉なことだ。
 ちなみに、俺は刺身が食べられないので一人だけミックスフライ定食にしてもらった♪

まるかつのミックスフライ定食

 とにかく沢山ここで買い物をしようと思い、普段なら気にも留めない魚介類の加工食品を何点か買った。
 蒲鉾は抜群においしかった。花かつおのふりかけも、それだけでご飯が何杯も行けるほど美味しい。たこせんべいはこれから食べるけど、美味しそうで楽しみだ☆
 とにかくほとんど闇雲に買ったけど、どれも思ったより美味しくて、これからはちょっとこういうのも観光先で見つけたら買って食べてみようと思った。価格も安い♪ 

まるかつ近辺



 バスの中、涙を堪えるのが大変だった。
 どうしても、コンクリートの土台だけの景色とガレキの校庭が脳裏に甦る。お祭り騒ぎだったバスの中が、その時だけは嫌に静かだった。
 ばかだな。皆堪えてないで泣けばいいんだ。女性は泣いていた。男は泣いちゃダメなんだ。ばかだな。

 悲しかった。
 こんな感情は今までに経験したことがなかった。どう言えばいいのかわからないけど、とにかく悲しかった。

 天災だから、ある程度は仕方ないのかなって思ってたけど、そういう感情を遥かに超えて、悲しかった。ただただ悲しかった。
 具体的に説明できる言葉がどうしても見つからない。
 

 慰労がメインの研修会、あえて被災地に立ち寄って、その被害を少しだけ垣間見たけど、来て良かった。来なかったら、今よりもっと何も知らないで震災のことについて語っていたのだろう。ほんの少しだけど、見るのと見ないのではこうも違うのかと思った。


 行って見た方がいい。

 そう思った。ただし、野次馬根性じゃダメだ。被災地の人に嫌な思いさせちゃダメだ。もしかしたら、行くだけで嫌な思いさせるのかもしれない。いや、している人もいるだろう。だから、なるべく静かに行って欲しい。でも買い物は沢山したほうがいい。明るく挨拶してくれた人には、明るく挨拶を返したらいい。

 こうやって、どういう形にしても、書かれるのも嫌かもしれない。ブログを書くのも迷ったけど、写真はほとんど撮れなかったけど、どうしても書きたかった。

 被災者と一緒の気持ちになれたらと思って、自分もあの日、5強の地震とはいえ被災した同士だから、、、って思ってたりもしたけど、ばかだった。偽善だった。
 被災の規模が違いすぎる。
 想像の枠を遥かに絶していた。 

 今、被災地に思いを馳せると、ただただ悲しい、あの絶句の感情だけが、心を支配している。




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 2012年6月10日(日) 2日間の研修の最終目的地は東日本大震災の津波被災地、小名浜だった。 高速道路を下りて、しばらくはどこからが津波の被害にあったかわからなくて

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小名浜ですか

こんばんは。
10日に小名浜に行かれたのですね。ちょうど私も前日の9日に湯本の実家、そして小名浜に寄り道していました。
9日は雨だったので、非常に寒くてすっかり風邪をひきました。
いわき市四ツ倉の親戚の家も津波で流され、身一つで助かったのですが、現在はかなり元気に復興にあたられてました。
親戚といっても、それほど何かができるわけでもないので、歯がゆい想いもしましたが、お互いに元気な顔を見せることで、何となく力が湧いてくるといっていました。
まだまだ復興の道のりは遠いかもしれませんが、我々のできることは、この災害を忘れてはいけないということに尽きるような気がしています。
勝手なことを長々と失礼しました。

薄荷脳70さん☆

そうだったんですか。ニアミスしていたんですねw
薄荷脳70さんの実家も大変だったのですね・・・
やはり実際に被災された方や、そのご親戚にお話を聞くと、ずしりと心に響きます。
私の身の回りには、奇跡的にも被災で命を落とす者もなく、また知り合いに東北の人がいなかったため、実際に被災地を訪れ、さらに薄荷脳70さんのお話も聞き、衝撃を受けました。

ともかくも、薄荷脳70さんの言うように、この災害を忘れずに日常を生きるしかないのかなと思います。
そして、なるべく旅行で福島へ足を運び、たくさんお土産や美味しい食べ物を食べて、このブログで福島の楽しいところを紹介して行けたらと思います。

貴重なお話、ありがとうございます。
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